自動視野計データファイリングシステム (Hfa Files)を導入しました

せき眼科医院では、緑内障の経過観察に必須である視野検査にハンフリー自動視野計とゴールドマン視野計を使用しています。視野を経時的・定量的に解析するためには前者のハンフリー自動視野計が優れています。

平成8年の医院開業から16年経過し、ハンフリー視野検査のデータも約4万件を超えています。

患者さんの視野の経時変化を間違いなく定量的に把握するため、ハンフリー自動視野計データファイリングシステムであるHfa Files (HFAファイルズ)を導入しました。

HFA files header
Hfa Filesでどんなことができるのでしょう?



具体的な例を上げて説明します。

例えば、正常眼圧緑内障の患者さん:両眼の視野が提示されていますが、灰色や黒で示された部分が感度の低下した視野の領域です(上が右眼、下が左眼:画像クリックで拡大)。

NTG HFA 30

正常眼圧緑内障では、視野の進行(悪化)スピードは遅いとされています。そのため人力に頼って視野を解析した場合、感覚的に「前回とあまり変化ないな」と判断してしまいがちです。

しかし、ごく僅かな進行が10年、20年と続いたらどうなるでしょう?

NTG Hfa files

下のグラフはこの患者さんの1993年から2012年まで20年間の視野の経過を見たものです。グラフの横軸が時間、縦軸が視野の程度を表します(下に行くほど悪い)。ゆっくりではありますが、それでも視野が次第に悪化していることがわかります(特に青線で示した右眼)。

このように長期経過を評価することで、患者さんの今後の視野の進行を予測したり、現在の治療が成功しているのか評価することが可能になります。

+++++

別な緑内障患者さんの現在の視野(右眼)です。

POAG HFA 30

この開放隅角緑内障の患者さんは2008年ころまでは眼圧コントロールが良好だったものの、その後に眼圧が20 mmHgを超えることが多くなり(眼圧コントロール悪化)、それに伴い視野が急激に悪化して来ました(下のグラフ水色の網かけ部)。薬物治療では眼圧コントロールが出来ず緑内障手術の必要性が示唆されます。

POAG hfa files

さらにややマニアックですが、このグラフをよく見ると1996年から1998年ころにかけて、視野の測定結果が良くなっています(やや右肩上がりになっている部分)。これは患者さんが視野測定に慣れてきたことによる見かけ上の改善(練習効果)と思われます。こんなこともHfa Filesの解析機能を使うことで容易に見てとることができます。

=====

せき眼科医院では、緑内障患者さんの経過観察や治療方針の決定を緻密かつ医学的根拠に基づいて行うために、データファイリングシステム・解析ソフトウェアを活用して行きたいと思います。

せき眼科医院のホームページ

せき眼科医院 ホームページ ロゴ

LINEで送る