患者さんや医療スタッフから、時々この質問を受けます。なぜならば、薬剤添付文書(説明書)の禁忌欄に「緑内障」と記載されている薬剤が数多くあるからです(図)。
緑内障は「視神経(眼で受けた情報を脳に伝達する神経)」の病気で、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に大別されます。前者の「開放隅角」緑内障の場合、添付文書の禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤であっても、その使用には問題がないと考えて良いでしょう。
後者の「閉塞隅角」緑内障の場合には、注意が必要です。しかし、閉塞隅角緑内障あるいはその予備軍(原発閉塞隅角症)と眼科で診断されている患者さんの場合、既にレーザー治療(虹彩切開術)や白内障手術などの予防治療が行われていることがほとんどです。これらの治療が済んでいる患者さんの場合、添付文書の禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤であっても、著しい眼圧上昇を来すことはまずありません。
つまり、眼科で緑内障という診断を受けている患者さんの場合には、かえって問題を生じることは少ないのです。
実は、最も注意が必要な方は、もともと目が良くて(近眼ではなく、若い頃メガネ無しで遠くが良く見えた方)、眼科を受診したことがない方なのです。このような方の中に、房水(眼内の水)の通路がもともと狭い「原発閉塞隅角症」の方がいらっしゃいます。原発閉塞隅角症であっても自覚症状は全くありません。ところが、そのような方が、禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤を使用した場合に、緑内障発作(急な眼圧上昇を起こし、視力低下・眼痛・頭痛・吐き気・嘔吐などを生じる)を発症する危険性があります。発作が起こった場合には数日で失明することもあります。万が一、これらの症状が起きた場合、早めに医療機関を受診して頂くことが最も重要となります。
(この文章は外勤先の新潟医療センター機関紙「新潟医療センターニュース」に掲載されたものを、許可をとって転載させていただきました)
カテゴリーアーカイブ: 緑内障
2014年の手術実績をアップデートしました。
せき眼科医院ホームページ上の手術実績を更新いたしました。
2014年の手術実績はこちら。
緑内障(線維柱帯切開術・隅角癒着解離術などの流出路再建術、線維柱帯切除術・緑内障治療用インプラント挿入術などの濾過手術)の手術件数が増加傾向です。
2013年よりも白内障の件数は減少しましたが、患者さんからは長期間の待ちがなくなったと、好評です。
白内障手術などをお急ぎの患者さんは御相談下さい。
「緑内障なのに白内障になるんですか?」
患者さんとお話していると、「緑内障なのに白内障になるんですか?」とご質問を受けることが時々あります。
答えはもちろん「その通りです」。
まず緑内障ですが、日本では40歳以上の方の5%が緑内障にかかっていると考えられています。しかし、緑内障は自覚症状に乏しいため、多くの患者さんでは眼科を受診する機会もなく、病気の存在に気づいていない可能性が高いのです。
一方、白内障はどうでしょう?
多くの場合、白内障は水晶体の加齢性変化によって生じるとされています。極端に言えば、白内障は誰にでも起こってくるものなのです。
そのように考えると、「緑内障患者さんに白内障が合併する」ということが、よくあることだと御理解いただけるかと思います。
逆の場合もあります。
白内障が進行すると、視力低下・かすみなどの自覚症状が出現するため、患者さんは御自分で見づらさを感じて眼科を受診されます。そこで精密検査をしたところ、緑内障がみつかることがあります。緑内障はうんと悪化するまで自覚症状に乏しいため、眼科に受診するか御自分でチェックしてみるなどの機会がない限り発見することは難しいと言えます。
そのように考えると「白内障だと思っていたら、緑内障が合併していた」ということも充分ありうることと御理解いただけるかと思います。
ほかに患者さんからしばしば受ける質問は、「緑内障があるのに白内障の手術はできるのですか?」というものです。
これの答えは 続きを読む
自動視野計データファイリングシステム (Hfa Files)を導入しました
せき眼科医院では、緑内障の経過観察に必須である視野検査にハンフリー自動視野計とゴールドマン視野計を使用しています。視野を経時的・定量的に解析するためには前者のハンフリー自動視野計が優れています。
平成8年の医院開業から16年経過し、ハンフリー視野検査のデータも約4万件を超えています。
患者さんの視野の経時変化を間違いなく定量的に把握するため、ハンフリー自動視野計データファイリングシステムであるHfa Files (HFAファイルズ)を導入しました。
Hfa Filesでどんなことができるのでしょう?
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