せき眼科医院のブログを御訪問下さりありがとうございます。
せき眼科医院は、質の高い眼科診療と手術を提供するため、1996年に新潟市で開業いたしました。日本眼科学会専門医による眼科一般診療のほかに、白内障・緑内障・まぶたの病気などに対する日帰り手術を行なっています。患者様の立場に立ち、病状や診療方針について十分にご説明することを心がけ、眼病の早期発見・早期治療に注力しております。目について、眼病について、少しでもご不安がありましたら、お気軽にご来院・ご相談下さい。
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臨時の休診日などについては、せき眼科医院のホームページのお知らせより御確認頂けますと幸いです。
白内障が手術後に再発???
患者さんから、「白内障手術をしても、何年か経つと、また再発しますか?」と聞かれることがあります。
結論から申し上げますと、白内障が手術後に再発することはありません。
白内障は眼の中でレンズの役割をする組織「水晶体」が濁ってしまった状態です。手術では、濁った水晶体を取り除き、かわりに人工の眼内レンズを目の中に入れます。
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具体的には、濁った水晶体を超音波で小さく砕きながら吸い出します。その際、水晶体を包んでいる袋「水晶体嚢(すいしょうたいのう)」は残します。この袋を支えに眼内レンズを入れて終了です。
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つまり、濁るべき水晶体はもう眼内に存在しないので、白内障が再発することはないのです。しかしながら、白内障手術後、数ヶ月~数年たってから「後発白内障」が起こってくることがあります。
後発白内障は、眼内レンズを支えている「水晶体嚢」の細胞が増えて、濁りを作ることです(白内障の再発ではありません)。濁りが強くなると、見え方が悪くなってきます。
( ↑ 後発白内障を顕微鏡で観察:写真中央部に濁りがあります。)
(反射光で後発白内障を観察:赤い反射光の中にツブツブとした後発白内障が写っています。)
後発白内障のために見え方が悪くなってきた場合には、レーザー治療で濁った水晶体嚢に切開を入れる治療「後発白内障切開術」により視力が回復する方がほとんどです。
後発白内障切開術は約5分程度で終了し、手術後の生活制限もありません。
(手術室ではなく、外来診察室で行います)
(術後の写真:1番目の写真にあるような白い濁りが消えています)
(術後の状態を反射光で観察:切開縁を矢印で示しています。切開縁より中央の濁りがなくなって、視力も改善しました。)
この後発白内障は、手術後だいぶ経過してから起こることも多いので、術後の経過観察が終了した後でも、見え方の変化があれば眼科を受診してみてください。
日本白内障学会の後発白内障についての解説
(図も載っていて分かりやすいと思います)
「緑内障なのですが、このクスリを使っても大丈夫ですか?」
患者さんや医療スタッフから、時々この質問を受けます。なぜならば、薬剤添付文書(説明書)の禁忌欄に「緑内障」と記載されている薬剤が数多くあるからです(図)。
緑内障は「視神経(眼で受けた情報を脳に伝達する神経)」の病気で、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に大別されます。前者の「開放隅角」緑内障の場合、添付文書の禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤であっても、その使用には問題がないと考えて良いでしょう。
後者の「閉塞隅角」緑内障の場合には、注意が必要です。しかし、閉塞隅角緑内障あるいはその予備軍(原発閉塞隅角症)と眼科で診断されている患者さんの場合、既にレーザー治療(虹彩切開術)や白内障手術などの予防治療が行われていることがほとんどです。これらの治療が済んでいる患者さんの場合、添付文書の禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤であっても、著しい眼圧上昇を来すことはまずありません。
つまり、眼科で緑内障という診断を受けている患者さんの場合には、かえって問題を生じることは少ないのです。
実は、最も注意が必要な方は、もともと目が良くて(近眼ではなく、若い頃メガネ無しで遠くが良く見えた方)、眼科を受診したことがない方なのです。このような方の中に、房水(眼内の水)の通路がもともと狭い「原発閉塞隅角症」の方がいらっしゃいます。原発閉塞隅角症であっても自覚症状は全くありません。ところが、そのような方が、禁忌欄に緑内障と記載されている薬剤を使用した場合に、緑内障発作(急な眼圧上昇を起こし、視力低下・眼痛・頭痛・吐き気・嘔吐などを生じる)を発症する危険性があります。発作が起こった場合には数日で失明することもあります。万が一、これらの症状が起きた場合、早めに医療機関を受診して頂くことが最も重要となります。
(この文章は外勤先の新潟医療センター機関紙「新潟医療センターニュース」に掲載されたものを、許可をとって転載させていただきました)
2014年の手術実績をアップデートしました。
せき眼科医院ホームページ上の手術実績を更新いたしました。
2014年の手術実績はこちら。
緑内障(線維柱帯切開術・隅角癒着解離術などの流出路再建術、線維柱帯切除術・緑内障治療用インプラント挿入術などの濾過手術)の手術件数が増加傾向です。
2013年よりも白内障の件数は減少しましたが、患者さんからは長期間の待ちがなくなったと、好評です。
白内障手術などをお急ぎの患者さんは御相談下さい。
業績リスト:関正明の英語論文
これまで発表した英語論文を簡単な解説とともに、最近のものから順にリストアップしました。「Seki M」が私(関正明)です。2014年9月アップデートしました。 続きを読む
業績リスト:関正明の日本語論文
私(関正明)のこれまで発表した日本語論文を、最近のものから順にリストアップしました。2014年9月アップデートしました。
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「緑内障なのに白内障になるんですか?」
患者さんとお話していると、「緑内障なのに白内障になるんですか?」とご質問を受けることが時々あります。
答えはもちろん「その通りです」。
まず緑内障ですが、日本では40歳以上の方の5%が緑内障にかかっていると考えられています。しかし、緑内障は自覚症状に乏しいため、多くの患者さんでは眼科を受診する機会もなく、病気の存在に気づいていない可能性が高いのです。
一方、白内障はどうでしょう?
多くの場合、白内障は水晶体の加齢性変化によって生じるとされています。極端に言えば、白内障は誰にでも起こってくるものなのです。
そのように考えると、「緑内障患者さんに白内障が合併する」ということが、よくあることだと御理解いただけるかと思います。
逆の場合もあります。
白内障が進行すると、視力低下・かすみなどの自覚症状が出現するため、患者さんは御自分で見づらさを感じて眼科を受診されます。そこで精密検査をしたところ、緑内障がみつかることがあります。緑内障はうんと悪化するまで自覚症状に乏しいため、眼科に受診するか御自分でチェックしてみるなどの機会がない限り発見することは難しいと言えます。
そのように考えると「白内障だと思っていたら、緑内障が合併していた」ということも充分ありうることと御理解いただけるかと思います。
ほかに患者さんからしばしば受ける質問は、「緑内障があるのに白内障の手術はできるのですか?」というものです。
これの答えは 続きを読む
眼内レンズ縫着術に関する論文が掲載されました。
白内障手術は比較的安全な手術とされていますが、ときに合併症が生じる場合があります。
その一つが眼内レンズ(人工レンズ)の挿入困難です。
現在主流となっている白内障手術の術式では、水晶体の袋(水晶体嚢)を残し、袋を支えに眼内レンズを挿入して手術を終了します。
ところが、難症例(水晶体の脱臼・亜脱臼症例、水晶体嚢を支える組織が弱い方)や術中合併症(破嚢:残すべき水晶体嚢が術中に破れてしまうこと)を起こした症例では、眼内レンズを水晶体嚢に挿入することが困難となります。
そのような場合、眼内レンズを眼内に縫い付けること(眼内レンズ縫着術)が必要となります。
この眼内レンズ縫着術は手技が比較的煩雑な上に、正確な眼内レンズの設置ができないと強い乱視が起こったりします。
これまで用いられてきた眼内レンズ縫着の手技は熟練を要求するものがほとんどでした。
このたび、関正明医師による「簡便な新しい眼内レンズ縫着の方法」に関する論文が、白内障手術に関しては最も権威のある米国の雑誌 Journal of Cataract & Refractive Surgeryに掲載されました。
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乱視矯正眼内レンズを使用した白内障手術:2012年の成績
乱視には、白内障による水晶体の屈折変化に起因する「水晶体乱視」、角膜(くろめ)の形状に起因する「角膜乱視」などがあります。それらが干渉しあって眼球全体の乱視「全乱視」を成しているのです。
通常の眼内レンズを使った白内障手術(水晶体再建術)でも水晶体乱視は取り除くことは可能で、良好な視力を得ることができます。しかし、もともと角膜乱視が強い患者さんの中には、術後も乱視が多く残ってしまうために眼鏡をかけた視力(矯正視力)は改善したものの、眼鏡なしでの視力(裸眼視力)が伸び悩む方がいらっしゃいました。
これまでも、角膜に切開を追加することなどによって、角膜乱視を軽減させ白内障手術後の乱視を軽くする方法などがありましたが、2009年に乱視矯正が可能な眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)の使用が可能になりました。私も2009年よりトーリックレンズを使用しその裸眼視力の改善効果を実感していましたので、せき眼科医院でも2012年からトーリックレンズを使用開始しました。
この乱視矯正用の眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)は、患者さんの眼にもともとある角膜乱視(角膜のカーブが方向によって異なることに起因)を打ち消すことによって、眼全体の乱視(全乱視)を軽減するものです。トーリック眼内レンズを用いた白内障手術では角膜乱視自体は残したままにも関わらず、眼の中に入れたトーリック眼内レンズの作用で角膜乱視を相殺するというのが特徴です。ソフトウェア上で計算し出力された角度にキッチリあわせて眼内レンズを挿入することに気をつければ(下図)、手術の方法は通常の白内障の手術とほとんどかわりません(費用は通常の白内障手術と同じです)。
しかし、乱視と一言で言っても、正乱視や不正乱視、直乱視や倒乱視、などと細かく分類されていて、必ずしも全ての乱視について乱視矯正眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)が適応になるわけではありません。また、もともと眼鏡に慣れている方ならば眼鏡で調整すればよく見えるので、トーリック眼内レンズを使用する必要は少ないと言えます。当院では、角膜の状態、乱視の程度・種類、他の眼疾患の有無、生活様式など様々な要素を勘案して、患者さんお一人お一人についてトーリック眼内レンズを使用すべきか決定しています。
せき眼科医院では、2012年に10名10眼の方にトーリック眼内レンズを使用し水晶体再建術を施行し、術後3ヶ月以上経過観察を行いましたので手術成績をまとめてみました(症例数が少ないですが)。 続きを読む
アレルギー性結膜炎・花粉症の治療について
アレルギー性結膜炎・花粉症の治療について簡単にまとめています。
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